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ノーコード(2)

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さて、ノーコードはシステム開発の救世主になり得るか?

私はノーコードを使ったことはない。トライアル版(機能制限無しの?)を使ってみて、あれこれ試行錯誤した結果、ノーコードに適した案件があり得ることくらいは分かるのかもしれない。おそらく、組織的(会社として?)にノーコード適用条件を明確化する必要があるだろう。単なる思い付きで案件にノーコードを適用して、高額なライセンスを購入したあと、土壇場になってノーコードの制約(バグ?)に引っかかったり、ノーコードの実装を理解していないと書けないような難しい追加コードを要求されたら、その時点でその案件の構築は破綻してしまうのではないか?

ノーコードに無視出来ないようなリスクが有るのなら、小規模案件から徐々に適用し、経験値を上げていけば良いではないか?と、誰でも考えるような当たり前のことを言うのかもしれない。その場合、ノーコード開発環境はその案件のベンダ側が購入し、ノーコードにより作成したシステムオブジェクトの実行環境を顧客側が購入することになるのだろう。開発環境と実行環境を分離できないノーコードの場合、顧客に開発環境まで買わせることになるので、小規模案件から徐々に適用するは不可能だ。また仮に分離出来たとして、ノーコードに起因する問題はすべてベンダ側の責任になるので、多少なりとも免責したいと思うなら、要件定義、見積段階から、ノーコードの使用を顧客に告げておく(承認してもらう)必要がある。そうなれば、顧客はノーコード実行環境の購入費分を値切ってくるのは明らかだ。そうでなければ、ベンダ側がノーコードの良いところ(開発効率向上?)だけを享受し、リスクはすべて顧客に丸投げとなりかねない。

ノーコードの開発環境と実行環境の分離は重要な要素である。分離出来れば、ソースコードの権利はベンダ側に留保し、顧客にはプログラムの使用権だけを渡すと言った、従来からよくある契約が可能となる。分離出来ない場合は、構築が終わった時点ですべてを顧客に引き渡すことになるので、それ(ソースコードの権利移転)がイヤならあらかじめ契約で謳っておく必要がある。しかし、ノーコードにソースコードはないのだから、いったい何を留保しているのか分からないし、それを参照するには顧客に買わせたはずのノーコードをベンダ側もずっと持っていないといけなくなる。結局、ベンダ側もノーコードに初期投資(継続投資?)せざるを得ないわけだ。

プログラムコードならフリーのエディタがあれば参照出来るが、皮肉なことにノーコードではそういうわけにはいかない。いや、もしかしたらxml等の形式でエクスポート出来るのかもしれないが、そのコードが何をしているかを解読出来るかどうかは疑問だ。しかも、ノーコードはまだレガシーにはなっていないと思われるので、外国製品なら日本語化はされていないだろう。ノーコード特有の用語が混じった表示がすべて英語では、非常に扱いにくいのではないか。

もちろん、構築が終わったら全部顧客に渡して、一切運用や保守に関与しないという考え方もあるだろう。しかし、そんなことを事前に顧客に説明して(不安にさせて?)、その案件を受注出来るのだろうか? さらにその前に、そんなことを提案書に書いて顧客に説明する前に、ベンダとしてノーコードに手を出すかどうかをよくよく考える必要があると思われるが、どうだろうか?

うまいやり方があるとすれば、ノーコードシステムをまず顧客に購入させる。そして、必要ならそれを使用したシステム構築を客先常駐で実施する。そうすれば、準委任契約でシステム構築を実施出来るので、ベンダにとっては願ったりかなったりではないか? そうじゃないと、顧客の好みで採用したノーコードシステムをいくつもベンダが抱えることになる。抱えているノーコードのサブスクリプション費用は誰が払ってくれるのだろうか?

これらのことはノーコードだけでなくローコードにおいても言える。一見してプログラムを書かなくてもシステム構築可能!というウラには、今までに無かったようなリスクがあるし、顧客にしてみれば、プログラムを書かないならもっと早く安く出来るだろうと言うに決まっている。だとすれば、相当慎重に考えないと危ないのではないだろうか。


 


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